中府から与北へ|市街地を抜け、金毘羅街道らしい道へ【第3話】

体験記・紀行

丸亀港を出発し、城下町を抜けて中府一の鳥居まで歩いた前回。

平成の丁石「五丁」を過ぎても、周囲はまだ丸亀の市街地だ。
ここから柞原、一里屋、郡家を経て与北へ向かう。

歩いてみると、この区間はずっと昔の街道風景が続くわけではなかった。
交通量の多い県道を歩く場所もあれば、住宅地を抜ける場所もある。
けれど南へ進むにつれて、少しずつ景色が変わっていく。

今回の終点は、与北の茶堂跡

そこまで来ると、ようやく「金毘羅街道を歩いている」と感じられる道が始まった。

中府からさらに南へ。
このあたりでは、金毘羅街道は現在の県道204号と重なりながら続いている。

柞原付近まで来ると、平成の丁石「二十丁」が現れる。
五丁だった数字が二十丁になった。

まだ旅は始まったばかりだが、こうして数字を追って歩いていると、少しずつ金毘羅へ近づいていることが実感できる。
二十丁付近で、金毘羅街道は県道204号から離れる。

県道204号から旧金毘羅街道へ入る分岐

写真の分岐を右へ。
大きな道路をそのまま進むのではなく、旧道へ入っていく。
こうした分岐は、地図を見ているだけでは分かりにくい。
実際に街道を歩く面白さは、現在の道路の中から、昔の道筋を拾いながら進むところにもある。

旧道へ入って進むと、一里屋に石灯籠と丁石が残っている。

一里屋に残る石灯籠と丁石

何気ない住宅地の中に、突然こうした石造物が現れる。

現在の道だけを見ていると普通の生活道路だが、灯籠や丁石が残っていることで、ここが長く人の往来を支えてきた道だったことを思い出させてくれる。

高松自動車道の下をくぐり、郡家へ入る。
このあたりには、金毘羅参りの旅人が休んだ郡家の茶堂と、街道沿いの神野神社がある。

郡家の茶堂と神野神社

長い距離を歩いて金毘羅を目指した時代、茶堂は旅人が足を休める場所だった。
現在では周囲の景色も変わっているが、こうした茶堂や神社が道沿いに残ることで、ここが単なる通過点ではなく、人が休み、祈り、また歩き出す街道だったことが見えてくる。

金毘羅街道を歩いていると、神社や小さな祠、石灯籠などがたびたび現れる。
目的地だけを目指して歩くのではなく、こうした街道沿いの風景を拾いながら進むのも、この道歩きの面白さだと思う。

さらに進むと、50丁石がある。

街道沿いに残る50丁石

現在では県道204号沿い、コンビニの脇に立っている。

昔の丁石と現在の店舗。
時代の違うものが同じ道路沿いに並んでいるのも面白い。

平成の丁石だけでなく、こうした古い石を追っていくことで、現在の道路の下に昔の街道が重なっていることが見えてくる。

この先、街道は郡家から県道4号へ入る。
ここは今回歩いた中でも、特に気を使った区間だった。

交通量の多い県道4号。歩道がなく注意が必要

車の交通量が多いうえ、歩道がない場所がある。
歴史的なルートを忠実に歩きたい気持ちはあるが、安全を優先するなら無理をする必要はない。
街道歩きの案内ルートには、交通量の多い区間を避ける「池めぐりコース」も設定されている。
歩くことそのものを楽しみたい場合は、こちらへ迂回する方が安全で快適だと思う。
特に複数人で歩く場合や、車道歩きに慣れていない場合は検討したい。

交通量の多い区間を抜けながら南へ進むと、再び街道らしい石造物が現れる。

角下組石灯籠だ。

角下組石灯籠
角下組石灯籠と街道沿いの風景

幹線道路を歩いている間は、金毘羅街道を歩いている感覚が少し薄くなる。
それだけに、こうした灯籠が現れると道が再びつながったように感じる。
さらに灯籠の足元には、「七十丁」と刻まれた丁石が残っている。

石灯籠の足元に残る「七十丁」の丁石

五丁、二十丁、五十丁、七十丁。

数字を重ねながら、少しずつ琴平へ近づいていく。

やがて県道204号は右へ大きくカーブしていく。
しかし、金毘羅街道は県道と一緒には曲がらない。
そのまま直進する。

ここから周囲の雰囲気が変わってくる。
車の多い道路から離れ、交通量の少ない道へ。
そしてたどり着くのが、与北の茶堂跡だ。

与北の茶堂跡に残る石灯籠
与北の茶堂跡を伝える案内板

茶堂は、金毘羅参りの旅人が休息した場所だった。
長い距離を徒歩で旅していた時代、街道沿いに休める場所があることは大きな意味を持っていたはずだ。

港、城下町、丁石、灯籠。

そして茶堂。

道だけではなく、その道を歩く人を支える仕組みまで街道の一部だったことが見えてくる。

与北の茶堂跡を過ぎると、道の雰囲気がはっきり変わった。
交通量の多い県道から離れ、田畑の間を細い道が続く。

丸亀港からここまで、旧金毘羅街道をたどってはいたものの、周囲には駅や住宅、幹線道路があり、現代の町の中を歩いている感覚の方が強かった。

しかし、ここからは少し違う。

田畑の中に古い灯籠や丁石が現れ、遠くには山が見える。
街から離れて、ようやく金毘羅参りの道らしい風景になってきた。
そして不思議なことに、琴平へ近づくほど、その雰囲気はさらに濃くなっていく。
まるで、歩くにつれて少しずつ昔の時間へ戻っていくようだった。

次は与北から、さらに南へ。

九十丁、百十丁、百二十四丁、百三十一丁と丁石を追いながら、金毘羅の高灯籠を目指す。


立ち寄りメモ

今回歩いた区間:中府一の鳥居周辺 → 柞原 → 一里屋 → 郡家 → 与北茶堂跡
道の特徴:前半は市街地や県道歩きが中心。与北へ近づくにつれて交通量が減り、旧街道らしい田園の道へ変わっていきます。
注意したい区間:県道4号には、交通量が多く歩道のない場所があります。車の通行には十分注意が必要です。
迂回ルート:安全性や歩きやすさを優先する場合は、交通量の多い区間を避ける「池めぐりコース」を利用する選択肢があります。
シューズ:今回もALTRA TORIN 8を使用。
舗装路の比率が高いため、クッション性のあるロード向けシューズが歩きやすい区間です。


次回予告 👉第4話|与北から琴平へ。金毘羅街道を歩いて高灯籠を目指す

与北を過ぎると、街道の景色は一変する。

田畑の中を続く細い道、石灯籠、丁石、茶堂跡、石鳥居。

九十丁、百十丁、百二十四丁、百三十一丁と数字を重ねるほど、金毘羅参りの風景が濃くなっていく。

そして木々の向こうに、高灯籠が姿を現す。


金毘羅街道を歩く
👉 第1話:丸亀城と金毘羅街道
👉 第2話:丸亀港から中府一の鳥居へ
👉 第3話:中府から与北へ
👉 第4話:与北から琴平・高灯籠へ
👉 街道はアルトラ トーリン8で歩く
街道マップ
金毘羅街道のルートは、丸亀市公式「金毘羅街道」の地図も参考になります。

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四国在住。 登山とトレイルランニングを楽しみながら、 四国・瀬戸内の山や道を歩いています。このサイト「山旅日和」では、 無理なく、長く続けられる山旅をテーマに、 実体験をもとにしたフィールドガイドや 山と旅をつなぐ情報をまとめています。

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